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距離を変えると顔の形が変わる理由
カメラから被写体までの距離が変わると、写真の中で手前と奥のものの大きさの差が変わります。近いほど「遠近の差」が強まり、遠いほど弱まります。これを「パースペクティブ(遠近感)」と呼びます。
顔に当てはめると、近い距離から撮ると鼻や頬骨などカメラに近い部分が大きく写り、耳や顎などカメラから遠い部分が相対的に小さく見えます。中望遠で離れて撮ると、この差が小さくなり、顔の各パーツが実物に近い比率で写ります。
同じ顔・同じ表情でも、距離が変わるだけで写真の印象は大きく変わります。プロフィール写真で「なんとなく顔の形が変に見える」と感じるとき、多くの場合は表情ではなく撮影距離とレンズの問題です。
鼻が大きく写るのはレンズのせい
広角レンズ(24〜35mm程度)で顔に近づいて撮ると、鼻が強調された写真になりやすいです。鼻先がカメラに最も近い部分になるため、遠近の差が大きく出るからです。頬が横に広がって見えることもあります。
スマートフォンのフロントカメラは24〜28mm相当の広角です。自撮りをすると腕の長さ分しか距離が取れないため、顔が大きく見えるのは広角の近距離撮影の影響です。顔そのものの問題ではありません。
写真スタジオで使うストロボ撮影では、狭い場所で大きなストロボを使うために広角レンズで近づいて撮ることがあります。機材の都合でレンズと距離が決まっている場合もあるので、事前に作例を確認しておくことが大切です。
FIG. 081レンズと撮影距離によって顔の形と背景の見え方がどう変わるかを整理した図解。
24mm・50mm・85〜135mmで何が変わるか
24mmは広角の中でも強めの焦点距離です。近距離で顔を大きく写そうとすると、鼻と頬の遠近感が強く出ます。室内や狭いスタジオで使われることがあります。
50mmは標準レンズと呼ばれ、人の目で見た感覚に近い写り方をします。比較的自然に写りますが、近距離では多少の歪みが残ることがあります。
85mmから135mmは中望遠ポートレートレンズとして使われる範囲です。距離を十分に取って撮れる場合に、顔の比率が最も落ち着いて見えます。背景もなめらかにぼけやすく、人物が際立ちます。135mmを使うには撮影場所に奥行きが必要で、全身撮影では数メートルの後退距離が必要です(FIG.082参照)。
カメラマンの作例で確認すべきこと
依頼前に作例を見るとき、背景のぼけ具合だけを見ていると見落とします。顔の比率——鼻の大きさ・頬の横幅・耳と頬の距離感——を合わせて確認します。鼻だけが強く前に出ている作例が多い場合は、広角近距離撮影の可能性があります。
目線の高さも確認ポイントです。カメラが目線より低い位置から撮っている場合、首の下が大きく写りやすくなります。目線と同じ高さ、またはわずかに上からのアングルが、顔の形を整えやすいです。
また、全身写真と上半身写真が両方ある場合、両方の作例を確認します。全身写真で足が不自然に小さく見える場合、広角の近距離撮影の影響が出ている可能性があります。
近すぎるカメラは、表情ではなく顔の比率を変えてしまうことがあります。
撮影前と撮影中に確認できること
予約前に作例を確認するとき、「顔の形が落ち着いて見えるか」「鼻や頬が前に出ていないか」を意識して見ます。気になる作例が多い場合は、問い合わせで「どのくらいの距離で撮りますか」と聞いてみます。
撮影中に近いと感じたら、「少し離れたカットも撮っていただけますか」と声をかけます。レンズ名を指定するより、距離感を伝える方が伝わりやすいです。撮影者も意図を理解して調整してくれることが多いです。
納品後に顔の形が気になる写真は、別のカットと比べてみます。同じ撮影内で近い距離のカットと少し離れたカットがあるなら、比率を見比べることで原因が判断できます。
- 広角で近づくほど、鼻や頬などカメラに近い部分が大きく強調されます。顔の形の問題ではなくレンズと距離の問題です。
- 85mmから135mm程度で距離を取ると、顔の比率が保たれやすくなります。
- 作例を見るときは背景のぼけだけでなく、顔の比率と撮影距離も確認します。


