This Article Contains
「顎を引く」とは首を倒すことではない
顎を1cmほど引くと、写真の中の輪郭はすっきり見えやすくなります。これは骨格を変える話でも、顔を小さく見せる特殊な技術の話でもありません。カメラのレンズに対する顔の角度を、わずかに整えるだけのことです。
よくある誤解は、「顎を引く=首を前に倒す」という動きです。実際にやってみると、これでは顎下に余分な影が出たり、首が詰まって見えたりします。
正しい動きは、後頭部を上に保ちながら、顎先だけを少し手前に戻すことです。首は動かしません。顎先だけが数ミリ〜1cm、そっと引かれるイメージです。この小さな動きが、写真の上では輪郭の変化として現れます。
レンズ越しに輪郭はこう変わる
写真は、正面の鏡で見た自分とは違います。レンズの位置から見た顔が写ります。この違いを理解しておくと、顎の引き方の意味がよくわかります。
顎が上がった状態では、鼻の下に影が強くなり、輪郭は広く、目が相対的に小さく見えます。逆に顎を少し引くと、顎から首へのラインに自然な影が入り、輪郭が引き締まって見えます。それと同時に、目元に視線が集まりやすくなります。
撮影者がレンズを目線より少し高めに置いている場合、この効果がさらに出やすくなります。カメラが高い位置にあるほど、顎を少し引くことで顔の下側が整って見えます。
FIG. 003顎先を少し戻したときの、輪郭と首元の見え方の変化を整理した図解。左が顎上がり、右が正しい顎引きの状態。
後頭部の位置がすべての基準になる
撮影前に鏡を見るとき、顔だけでなく首の後ろも確認してみてください。後頭部が落ちている状態で顎だけを引こうとすると、首が詰まって苦しそうに写ります。
まず後頭部を少し引き上げる意識を持ちます。耳の後ろを天井方向に引き上げるイメージです。その状態をキープしながら、顎先だけを1cmほど戻します。この順番が大事です。後頭部が基準になっていれば、顎が引かれても首が詰まりません。
目線はカメラのレンズに向けます。顎を引くとつい視線が下がりがちなので、「後頭部を上に持ちながらレンズを見る」という2つの意識を同時に持つと安定します。
1cmで十分。引きすぎると逆効果になる
顎引きで一番多い失敗は、「もっと小顔に見せたい」という気持ちから、引きすぎてしまうことです。強く引きすぎると、顎下に二重顎のような影が出たり、首元にシワが寄ったりします。
もう一つの失敗は、顎を引こうとして首全体を前に傾けることです。これでは顔が下を向き、カメラを見上げるような緊張した表情になります。
写真で大切なのは、顔を極端に小さく見せることではありません。輪郭のラインが自然に読めて、首元に苦しさがなく、目元に表情が出ている状態を作ることです。そのためには1cm、多くても1.5cmの調整で十分です。
顎を引く合図は「首を下げる」ではなく「後頭部を上に、顎先だけ手前に」です。
撮影中に使える3つの意識
撮影中に迷ったときの合図を3つ用意しておくと、現場で落ち着けます。
- 目線をレンズに合わせる——カメラの位置を確認してから、そこに視線を向けます。視線が定まると、顎が自然な位置に落ち着きやすくなります。
- 耳の後ろを少し上げる——後頭部を高く保つ感覚です。この意識があると、首が詰まらずに顎だけを引けます。
- 顎先を薄い紙一枚分だけ戻す——大きく動かさなくてよい、という目安として使ってください。数ミリ〜1cm程度の動きです。
自宅で事前に練習するなら、スマートフォンを目線の高さに置いてタイマー撮影してみてください。①顎を上げた状態、②引きすぎた状態、③正しく引いた状態の3枚を並べて見ると、数ミリの差が写真でははっきり出るのがわかります。当日慌てなくて済む、おすすめの準備方法です。
- 顎は首ごと倒さず、後頭部を上に保ったまま顎先だけを少し手前に戻します。
- 引きすぎると二重顎や首のシワが出るため、動かす量は1〜1.5cmが目安です。
- 事前に3パターン撮り比べておくと、当日の「どのくらい引けばいいか」の感覚がつかめます。


